娘は初めての子を産んで、産休中だった。
わたしにとっては初孫。
お座りが出来るようになって…
声出して笑うようになって…
見るたびに成長していくかわいい子。
その子を抱いた娘は言った。
じゃぁこの子の成人式、見られないって事?
私は何も言えなかった。
ああ、そうなんだ。
15年ってそんなに短いんだ…
イヤだと思った。
ふてくされてる場合ではない。
先生が言った事、本当にそう言う意味なのか、調べなくては。
そして病気について調べ始めた。
主人もそう思ったのか、ネットで色々調べていた。
これ聞きに行こう。
そう言って差し出された資料は、隣町にあるリハビリ病院の先生が行うパーキンソン病治療についての講演会の案内だった。
その病院では、入院してリハビリしているパーキンソン病患者がたくさん居るようで、会場となる会議室には、その患者さん達も何人か来ていた。
看護師さんに付き添われ、歩行器を押しながら来る人、椅子に座ろうとしてよろける人、
落とした資料を拾おうとしても手が震えて拾えない人…
私は元々介護職なので、思わず介助の手が出そうになる。あっ、と思うと思わず腰が浮く。
そして実感する。
私は介助してもらう側ではなく、介助する側の人間だ。そうでありたいのに。
でも私もいつかこんなふうになるのか…
悲しくなって目を逸らした。
その日は、薬物治療についての話だった。
薬にも色々なタイプがあって、治療のアプローチも色々あるらしい。
それぞれの利点と副作用についても。
そこで知った。
私が今飲んでいる薬には恐ろしい副作用があると言う事。
突発性睡眠。
予兆なく眠り込んでしまうので、車の運転など危険な行為はさせないようにとあった。
ショックだった。
車に乗れなかったら買い物も仕事も行けない。
先生は薬を出す時、副作用について何も言わなかった。
自宅で処方された薬の説明書を見たら、赤字でしっかり書いてある。
私は次の予約まで待つ事なく先生に会いに行った。